地域に入り込むことで见えてくる、中世京都の民众史
日本中世史を研究する叁枝暁子先生が、史料や情报が豊富に残る京都で注目してきたのが、「西京神人」と呼ばれる商工业者集団です。
史料调査と参与観察を通して探ってきた西京神人の歴史、そして现在も継続している「瑞馈神舆」研究について绍介してもらいます。
中世の商工业者集団、「西京神人」
MIEDA Akiko
人文社会系研究科 教授
私は、中世の民众の歴史を研究してきました。院政期から戦国时代にかけての时代です。この时代の民众の多くは読み书きができなかったため、寺社や公家、武家など権力を持った人たちが残した文字资料からその姿を探ってきました。そうした史料が豊富に残るのが、政治や文化の中心だった京都です。
现在も継続している研究の一つが、京都市上京区にある北野天満宫の史料に见える「西京神人」と呼ばれる、天神信仰と结びついた商工业者集団の歴史です。住民の绍介で、西京神人の川井家に辿り着き、末裔が今も暮らし、室町时代につながる神事を现在まで伝えていることを知り、研究を始めました。
西京神人は中世において北野天満宫领「西京」を拠点に麹业を営み、麹の製造?贩売の独占権を得た民众集団です。やがて特権を失いますが、幕府や将军と関わりながら生き残りを図りました。近世には町人として暮らしつつも神人としての役割を守り、瑞馈神舆を中心とする「瑞馈祭」を発展させました。
史料调査と参与観察を轴に研究を続けるなかで、2022年に、西京神人に関する新出史料が古书店で贩売されていることを知りました。西京神人の神部家に伝来した文书群で、総数は600点に及びます。近世の神人としての身分や権益をめぐる文书、田地支配に関する文书?絵図、明治初期の神仏分离政策や西京神人の由绪にかかわる文书などが含まれています。2023年4月に、文学部日本史学研究室に所属する中世史や近世史専攻の院生たちとともに「神部家文书调査会」を立ち上げ、月1回のペースで史料调査を进めています。


「西京神人」の歴史を缀った一册。下に掲载の瑞馈神舆と里芋の茎の写真は本书に掲载のものです。
地域に入り込み、歴史を復元する
西京神人の研究として、瑞馈神舆と神饌作りの参与観察も行ってきました。瑞馈神舆は、もともと神人が北野天満宫に奉纳していた神饌が室町时代の応仁の乱后、神舆の形へと変化したもので、里芋の茎「ずいき」をはじめとした农作物や乾物で饰る全国的にも珍しい神舆へと発展しました。毎年10月1日から5日间行われる瑞馈祭を象徴するもので、西之京瑞馈神舆保存会によって製作されています。保存会のメンバーは30人ほどで、立命馆大学文学部の教员だった顷には、毎年9月になると毎日のように保存会を访ね、「夜なべ」と言われる製作作业に参加し、観察や闻き取りを行っていました。地域を支える人たちの中に身を置くことで、史料の読み方も変わってきました。例えば、「神供を奉纳した」というたった一行の记録からも、その背后で行われていた具体的な営みを想像できるようになりました。现在も、祭礼や神饌奉纳の準备に立ち会い、地域の方々との交流を続けています。


歴史を動かしてきたのは教科書に登場するような著名な人たちだけではありません。民衆を含む、一人一人が歴史をつくってきた主体です。そういう人々の歴史、可視化されていない歴史を可視化したいと思っています。今後も史料調査で得た知見を 地域の方々と共有しながら、フィールドワークと文献調査の両側から地域の歴史の復元をし、歴史学を社会に拓いていく試みを 学生たちと続けていきたいというのが私の希望です。




